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電総研ニュース(1995年)


 

545号(1995年6月)
振幅スクイズド光の発生
蛍光集光モジュールの開発

 

546号(1995年7月)
金属基体管により固体電解質燃料電池の性能向上に足掛かり
近隣諸国間の機械翻訳システムの開発

 

547号(1995年8月)
逆磁場ピンチにおける新しい閉じ込め向上モード(Improved High Θ Mode)の発見
超伝導インバータの試作

 

548号(1995年9月)
ダイヤモンド薄膜の電子デバイス開発に前進
−原子層レベルの平坦性をもつダイヤモンド薄膜合成と超高性能ダイオードの製作に成功−
色順応予測法の国際標準の確立

 

549号(1995年10月)
純オゾンを用いた新しい低温酸化プロセスの試み
オブジェクト指向型Lispの並列化を達成

 

550号(1995年11月)
センサベーストマニピュレーションシステムの開発
光演算による倒立振子の実時間直立制御に成功

 

551号(1995年12月)
生体磁場計測法による心機能部位の位置推定精度の評価
ソーラーケミカルヒートポンプの研究


振幅スクイズド光の発生
−量子限界を克服する新しい光−

 スクイズド光は光通信、光情報処理、光計測などにおけるショット雑音限界を克服する新しい光として期待されている。当所では光計測の超高感度化を目的として、第2高調波発生を利用した振幅スクイズド光発生の研究を進めている。励起光源としてスペクトル線幅55kHzのTi:sapphireレーザーを開発し、外部のリング共振器内に配置したKNbO3結晶を利用して波長431nmの2倍波を発生した。270mWの励起パワーに対して、70mWの2倍波が発生し、その雑音をバランス型検出器で解析した結果、ショット雑音に対して振幅雑音が5.4dB抑圧されたスクイズド光の発生が確認できた。今後は半導体レーザを励起光源に用いた実験を進めていく予定である。

[光技術部光電波システム研究室]


蛍光集光モジュールの開発

 追尾装置が不要で散乱光も利用可能な蛍光集光系を利用した新形太陽電池集光モジュール開発の一環として、現在製造されている太陽電池にも適用可能な底面結合方式を考案し、実用規模(960mm×420mm)のプロトタイプモジュールの試作・評価を行った。本方式は、従来の端面結合方式に比べて集光比は小さいものの、太陽電池の取付が容易であること等の利点がある。
 耐光性に優れ、高い蛍光量子効率を有するペリレン系蛍光色素を含むアクリル樹脂板を集光板とし、単結晶シリコン太陽電池を集光板の底面に配置した。ソーラシミュレータにより出力特性の評価を行い、集光板がない場合に比べて2倍以上の電気出力を得た。部分的な影による出力低下が少ないという本集光モジュール独特の特性も実証した。

[エネルギー基礎部エネルギー物性研究室]


金属基体管により固体電解質燃料電池の性能向上に足掛かり

 固体電解質燃料電池に使用できる金属系多孔質管の製作法をアセチレンフレーム溶射を用いて検討し、耐酸化性、座屈強度、導電性等に満足できる金属系基体管が得られた。これを用いることによりプラズマ溶射装置による苛酷な熱衝撃条件下においても緻密質のYSZ電解質膜の製作が可能となった。また、大気圧プラズマ溶射電解質膜の封孔処理技術を開発し、緻密化の進展した電解質膜が得られるようになった。これらをもとに単セルを製作し電流密度400mA/cm2、動作温度925℃の条件化で5,000時間を越える発電実験を遂行し、初期の発電出力として約300mW/cm2が得られた。

[エネルギー部高温エネルギー研究室]


近隣諸国間の機械翻訳システムの開発

 昭和62年度から始まった「近隣諸国間の機械翻訳システムの開発」プロジェクトでは、日本語を中心に中国語、タイ語、マレーシア語、インドネシア語との間の多言語翻訳システムを開発した。本プロジェクトでは多言語翻訳を効率的に実現するために、従来の2か国語間を直接変換するトランスファー方式とは異なり、中間的な言語を介在する中間言語方式を採用した。このような多言語機械翻訳を研究する上で要となる中間言語について、電総研では、従来の特別研究における自然言語理解および生成に関する研究の一環として構築してきた概念辞書を基礎として、中間言語の開発を進めた。

[知能情報部自然言語研究室]


逆磁場ピンチにおける新しい閉じ込め向上モード(Improved High Θ Mode)の発見
− 核融合の高性能化に布石 −

 当所の逆磁場ピンチ装置TPE-1RM20において、磁力線のプラズマに対する巻きつきをきつくすることによって、理論的に予想される閉じ込め限界に近い値まで閉じ込め特性を向上させることに成功し、この様な実験モードはImproved High Theta Modeと命名された。エネルギー閉じ込め時間は、プラズマ電流130kAの場合に最大約0.6msを達成した。第一壁のクリーニングを充分行うこと、近接シェルによってプラズマ周辺部分の揺動を抑制できるようにすること、生成されるべき磁束が小さくて良いこと等が今回の成功の要因と考えられている。

[エネルギー基礎部プラズマ研究室]


超伝導インバータの試作

 超伝導電力機器の実現に向けて、極低温で動作する効率の良い大電流変換超伝導パワーデバイスが必要である。今回、超伝導デバイスの1つであるクライオトロン方式の酸化物超伝導体を使ったインバーターを試作した。試作器の性能は直流から交流への変換電流容量は3Aと小さいものの、変換できる限界周波数は1000Hzと現在の電力用半導体変換素子と遜色のない応答性を示した。現在の所、数100Hzを超す高い周波数動作では、効率の低下やドリフトが生じるが、特性の良い大型の薄膜の酸化物超伝導材料が作成できれば実用機器の開発も可能である見通しを得た。

[エネルギー部超伝導応用研究室]


純オゾンを用いた新しい低温酸化プロセスの試み
―急峻なシリコン・酸化物界面の創製を目指して―

 当所で開発した高純度オゾンビーム発生装置を用いて、シリコン(111)基板上にシリコン酸化物薄膜の作製を試みた。X線光電子分光法を用いた酸化物の結合状態の測定から、純オゾンビームを用いた場合には、従来の酸素分子ガスを用いた熱酸化膜の作製に比べて、1)はるかに低温(室温)で欠陥(サブオキサイド)構造の少ないシリコン酸化物膜が作製できること、2)水素原子で終端されたシリコン表面でも酸化が進行すること、が明らかになった。現在、平坦性・完全性の高いシリコン酸化物薄膜の作製プロセスの実現を目指して研究を進めている。

[極限技術部表面制御研究室]


オブジェクト指向型Lispの並列化を達成

 電総研ロボットグループでは、ロボットの統合的プログラミング言語としてEusLispを開発してきた。EusLispは、オブジェクト指向をベースにしたLisp言語であり、ロボットの3次元環境中での作業を計画・推論するために必要となるソリッドモデリングの機能を備えている。近年一般的になりつつあるマルチプロセッサ型のワークステーションのマルチスレッド機能を用いて並列に動作する機能をEusLispに拡張した。シンボルやリストなどの大きなデータを共有メモリに置きながら、独立したコンテキストの中で異なる関数の評価(計算)を並行して進めることができるだけでなく、多数のセンサーからの信号を並列・非同期的に監視することが可能になる。並列処理によって得られる大きな計算パワーにより、画像処理や音響信号処理を含めたより実際的なロボット問題へのEusLispの適用が期待される。

[知能システム部通信知能研究室]


センサベーストマニピュレーションシステムの開発
―器用なロボットの実現を目指して―

 拡張性とリアルタイム性を同時に満たすトランスピュータを用いたセンサベーストマニピュレーションシステムについて述べられている。本システムは、上位レベルのインテリジェントシステムから下位レベルのリアルタイム性を強く要求されるサーボシステムに渡る総合的なロボット制御が可能であること、技術の蓄積およびその利用が可能であるような拡張性を有することが特徴として挙げられる。本稿では、まず、システムハードウェア、ソフトウェアの特徴について示し、次にダイレクトドライブマニピュレータ: ETA3sを中心として開発されたプロトタイプシステムを紹介している。

[知能システム部行動知能研究室]


光演算による倒立振子の実時間直立制御に成功
―光電子ファジイ推論の採用により演算性能を向上―

 実時間高速制御演算システムでは、制御安定性の高い演算方式の採用と、高速処理が可能な演算回路の実現が重要である。そこで本報告ではまず、メンバシップ関数としてガウス形関数を、関数間の演算に代数積と加算演算を採用する、ファジイ推論演算方式を新たに開発し、その制御安定性の従来方式に対する優位性を数値計算により実証した。また、この開発したファジイ演算方式を実現する、発行ダイオードと光位置検出素子を用いた光電子推論演算ユニットを開発し、グレード評価演算及び出力メンバシップ関数の合成と光重心演算を確認した。さらに、これら光電子演算ユニットを倒立振子駆動システムに応用し、実時間直立制御実験を初めて成功した。

[光技術部光情報研究室]


生体磁場計測法による心機能部位の位置推定精度の評価

 超伝導素子であるSQUID(超伝導量子干渉素子)を用いた生体磁場計測装置を開発した。この装置を用いて、副伝導路を持つ被験者の心臓から発生する生体磁場を計測し、計測結果から副伝導路位置を推定した。推定した位置とカテーテルを用いた電気生理学的検査法による推定位置とを比較した結果、7mm以内で一致した。また心表面電位マッピング法によって確かめられた副伝導路位置とも良い一致を示した。これらの結果、生体磁場計測法によってきわめて高い精度で疾患部位の推定が行えることが分った。生体磁場計測法とカテーテルを用いた電気的焼灼法とを組み合わせることによって、開胸しないで副伝導路を切断する可能性が示された。

[基礎計測部計測基礎研究室]


ソーラーケミカルヒートポンプの研究
―2-プロパノールの分解反応速度の向上に成功―

 太陽集熱器と化学反応昇温を組み合わせることにより、低温の太陽熱を有効に利用できる。このシステムの性能向上を図るためには、吸熱反応過程における2-プノパノールの分解反応速度を高めることが課題の一つである。この分解反応は、従来、溶液中の粉末状の触媒粒子を懸濁させて反応を行っていた。しかしながら、この方式では、反応生成物が溶液中に滞留しやすく、分解反応の進行を阻害する要因であった。そこで、この問題を解決するため、多孔質の材質に担持した触媒表面上に2-プロパノールの液膜を流す流下液膜反応方式を考案し、液膜反応方式を模擬したフラスコ実験を行った。その結果、従来法に比べ、反応速度が約7倍大きくなった。

[エネルギー部環境エネルギー研究室]
[エネルギー基礎部エネルギー材料研究室]


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